琵琶湖モデルを活用したJICA草の根技術協力事業の訪日研修が終了しましたので、研修の模様をお届けします。ILECは7月24日(月)~25日(火)の2日間に渡り、ベトナム地方行政機関(ハイフォン市・クアンニン省)より参加した職員6名に対し、講義の他、環境施設や湖沼周辺のエコツアーの視察を実施しました。
●初日には、琵琶湖の保全施策概要と琵琶湖モデルに関する講義が行われ、さらに琵琶湖環境科学研究センターを視察しました。
① 講義の様子 (ILEC)
講義では、研修員から排水処理場に関する規模や排水処理量、水道料金のシステムについての質問が出されました。また、ベトナムと日本の条例に関する制度の違いについても話されました。
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② 琵琶湖環境科学センター視察
講義においては、日本の公害問題や琵琶湖の特徴に基づく環境保全問題、県の行政組織や水質調査など、多岐にわたる話題が提供され、研修員からは組織や予算についての質問が投げかけられました。その後、機器分析室や検鏡室、生物検定室などの施設見学も行われました。
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●2日目には、エコツーリズム視察を実施しました。ベトナム・ハロン湾では年に何百万人もの観光客が訪れますが、環境と生態系の保護に配慮し、地域資源を持続可能に活用するエコツーリズムの手法を学んでもらうため、滋賀のエコツーリズムを事例として取り上げました。
① 権座ツアーの様子 (権座と水郷を守り育てる会)
琵琶湖最大の内湖・西の湖に浮かぶ「権座」と呼ばれる島では、約1.5haの水田と1haの畑が保たれています。この地域の農協組合員等は、環境保全と酒米の栽培、またそれを用いた地酒づくりを大切にし、地域振興の活力を生み出しています。研修員からは、島の風景がベトナムに似ているとの感想や、田畑についての税金や国の支援に関する質問がありました。
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② 内湖で取れる湖魚料理体験の様子 (魚定にて)
昼食では、今朝釣ったビワマスのお刺身や鯉の煮つけなど、非常に美味しい湖魚料理を堪能しました。湖魚料理はエコツアーの一部として提供されており、これを通じて湖魚の魅力を広め、漁業の発展にも寄与することを目指しています。
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③ 東近江市エコツーリズム推進協議会講義 (東近江市森と水政策課)
午後からは、東近江市のエコツーリズム推進に関する講義が行われました。鈴鹿山脈から琵琶湖まで、愛知川が水の恵みをもたらしています。「森・川・里・湖」が一体となった東近江市の豊かな地域資源を未来に継承するため、同市はエコツーリズムを積極的に推進しています。研修員からは観光客数や地域の伝統芸術に関する質問がありました。
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④ 伊庭ウォーキングツアー
かつて水路が縦横に張り巡らされていた伊庭の集落では、今も「カワト」と呼ばれる水路へ降りる階段が残り、かつての水の暮らしが物語られています。エコツアーは日本遺産にも指定された水辺景観を後世に残す取り組みとして実施されています。
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これらのエコツーリズムの事例が、ベトナム・ハロン湾での持続可能な観光推進に役立つことを願っています。