2025年10月1日、「世界湖沼の日(8月27日)」の制定を記念する国際イベントがインドネシア・ジャカルタで開催され、国際湖沼環境委員会(ILEC)は公式に招待を受けて参加しました。
イベントの模様は、YouTubeでご覧いただけます:📺 https://www.youtube.com/watch?v=Qpw7Mc9vqwQ
(日本の高校生のビデオメッセージ:46分35秒頃/ILECスピーチ:1時間3分頃)
本式典は、「Our Lakes, Our Future(私たちの湖、私たちの未来)」をテーマに、インドネシア政府がこれまで取り組んできた湖沼管理の成果と課題が発信されました。オープニング挨拶の中でヌロフィク環境大臣は国家優先15湖沼の保全対策を強化する方針を表明し、長年インドネシアが抱えてきた湖沼劣化の問題に対して、より迅速かつ具体的な行動の必要性を訴えました。
また、ILECからは、竹本和彦理事長によるメッセージが中村正久科学アドバイザーによって代読されました。メッセージでは、世界湖沼の日の背景として第1回世界湖沼会議の意義に触れ、「科学と政策が出会い、地域の経験が国際的な協力へとつながる道を拓いた」歴史的な起点が紹介されました。また、その後40年にわたって世界湖沼会議が継続的に開催され、国際協力が発展してきたことが、本記念日の制定へとつながったと述べられました。
さらに、湖沼が人類にとって不可欠な淡水資源であり、現在は気候変動や水質の悪化といった複雑な課題に直面していることから、国際的な協力と地域のリーダーシップをつなぐ統合的なアプローチ「統合的流域管理(ILBM)」の重要性が強調されました。このアプローチは、SDGs(持続可能な開発目標)の採択や国連環境総会(UNEA)での「持続可能な湖沼管理(SLM)」に関する決議など、国際的な合意とも密接に連動しています。
加えてメッセージでは、「若者の創造性、情熱、そして未来を見据える力は、湖沼を守る希望そのもの」との言葉も添えられ、次世代と共に取り組むことの重要性も示されました。
式典では、インドネシアと日本の若者たちによるビデオメッセージも紹介されました。日本からは、先日オーストラリア・ブリスベンで開催された第20回世界湖沼会議のユースセッションに参加した彦根東高校と水口東高校の生徒が登場し、世界湖沼の日を契機とした行動を呼びかけました。
このように世代や立場を超えた発信を通じて、SLMに向けた国際的な対話と連携の重要性が、改めて共有される機会となりました。
今後もILECは、世界湖沼会議をはじめとする活動を通じて、科学・政策・地域社会をつなぐ国際的なプラットフォームとしての役割を果たし、SLMの普及と実践を進めてまいります。